扁桃腺の摘出手術とその合併症

手術

風邪をひいて喉にいたみを覚えると、扁桃がはれているので病院で診断を受けることは珍しいことではありません。
なかには特に炎症などを起こしていないのに日常的にはれている場合があります。
これが扁桃肥大と呼ばれるもので、健常なものにくらべてサイズが大きくなっている状態のことお意味します。

そもそも扁桃とは口を開けてのどの奥を見たときに、いわゆる「のどちんこ」の左右にあるリンパ組織のことで、咽頭部分や舌の付け根などいくつかの種類があります。
分布場所により種類はあるもの基本的機能は同一でウイルスや細菌などの病原性微生物の体内への対処を担っています。
子供の成長過程で次第に大きくなっていき、7歳前後で最大のサイズになり中学生以降になると次第に小さくなっていき、中高年以降は萎縮するようになります。

扁桃肥大は生まれつきの体質に起因することが多く遺伝的要因が大きく関与していると見られますが、炎症を繰り返すことによっても肥大することがあります。
逆に肥大しているからといって必ずしも炎症を伴うわけでもありません。
2歳頃までは肥大しているのは生理的には普通の状態なので日常生活に支障をきたさない限り放置しておいても問題はありません。
しかし気道が狭くなる事で何らかの身体的不調をきたしている場合には適切な治療で対処する必要があります。

気道が狭くなることで問題になりやすいのは、睡眠時無呼吸症候群を併発することです。
呼吸のための空気の通り道が狭くなる事で、いびきをかいたり無呼吸状態を就寝中に繰り返すようになるわけです。
また高い陰圧をかけなければ十分な空気を吸い込むことは出来ないので、子供の軟らかい胸骨は変形してしまい漏斗胸などの原因にもなります。

睡眠時には成長ホルモンが分泌されるわけですが、無呼吸を繰り返すことで睡眠の質が低下すれば十分な成長が妨げられ他の同年代の子供にくらべると身体が小さいなどの成長障害の可能性もでてきます。

扁桃摘出手術のデメリットや合併症

また扁桃肥大の程度が酷くなると食事のときにものを飲み込みにくくなる、嚥下困難になっていることもあります。
そのおかげで食事が細くなりなかなか体重増加が進まないなどの弊害も出てきます。
睡眠時無呼吸症候群や成長不足などの弊害の可能性がでてくるときには、扁桃摘出手術も治療の選択肢にあがってきます。
ただ扁桃摘出手術には、合併症のリスクもあるので抗生物質などの保存的治療を行っても芳しくない結果を得られない場合に行われています。

そこで扁桃摘出手術の適応になるのは、ある程度限られています。

  • 炎症を繰り返し頻繁に発熱する
  • 炎症が慢性化し腎炎などの危険がある
  • 呼吸が苦しく睡眠時に無呼吸になる
  • 嚥下困難の程度が重い

などになります。

扁桃摘出手術は全身麻酔下で行われ、1時間から1時間ほどの時間がかかり入院期間も1週間-10日前後必要になります。
手術は開口機と呼ばれる器具を口に装着して術野を確保し、扁桃をすべて摘出します。
口腔内からアプローチするので傷跡は身体の表面には残りません。

手術方法としては確立された方法ですが、口腔内で器具を操作する手術なので繊細な技術が要求されるので術後出血のリスクがあり、その場合は入院期間が延長されることになります。
出血すれば歳出などで縫合する必要に迫られ、さらに入院期間が延長することもあります。
さらに出血だけでなく全身麻酔下で手術は行われるので脳障害などの重篤な合併症のリスクも否定できません。
脳障害の程度によっては意識障害が残ることもあるため、扁桃摘出手術を受けるべきか否かは慎重に検討する必要があります。

扁桃摘出手術によって睡眠時無呼吸や嚥下困難などを劇的に改善させるメリットがある一方で全身麻酔下で行うことによる脳障害や、縫合不全による出血などのデメリットもあることを踏まえて治療方針を決定することが必須と言えます。