扁桃炎の悪化を早める糖尿病との相関関係

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糖尿病には様々な合併症があることで知られていますが、健常者が罹患した場合比較的早めに治る病気でも悪化させやすくなるリスクを抱えています。
扁桃炎もその一つで、糖尿病に掛かっている人はそうでない人に比べて治りが遅く、扁桃の周囲にまで炎症が起こって扁桃周囲炎になり、首や胸などにも膿が及んだ場合、命に関わるような状態に陥る恐れもあります。
糖尿病や腎臓に疾患を抱えている人の場合、病気の進行が早まることも肝に銘じておかなければなりません。

扁桃炎には急性と慢性の2種類があり、舌の付け根あたりの両側にある扁桃が細菌感染によって炎症を起こすことで発症します。
扁桃は本来外部から侵入した細菌やウイルスをくい止める役割を果たしていますが、免疫力が低下していると扁桃そのものが炎症を起こしてしまい扁桃炎になります。
免疫力が健常者に比べて低下している糖尿病患者は、常に扁桃炎に罹りやすい状態です。
扁桃炎を1年に4回以上発症する状態になると慢性扁桃炎と診断されて、習慣性があるということで手術による扁桃摘出が行われることがあります。
糖尿病患者の場合、手術によって扁桃を摘出する事態になった場合、手術後の合併症が起こるリスクも高いことから、急性症状の段階で扁桃炎を治癒させておくことが重要になってきます。

様々な病気が治りにくい状態になっている糖尿病ですが、腎機能の低下を引き起こすことでも知られており、扁桃炎もIgA腎症と呼ばれる腎臓病を誘発することが指摘されるようになっています。
糖尿病患者が扁桃炎を発症すると腎臓病に罹るリスクが一気に倍増する恐れもあり、可能な限り早期に改善させておかなければなりません。
腎機能が著しく低下してしまうと体内に老廃物が溜まって尿毒症を引き起こす恐れもあり、多額の費用や通院の手間がかかる透析治療を行うことになります。
腎臓を守るために扁桃の切除術を選択することも考えられ、糖尿病患者は手術後の合併症リスクとも向き合う事態となってしまいます。

扁桃炎と糖尿病・歯周病との複雑な関係

糖尿病患者は扁桃炎に罹患するリスクが高く、悪化を招きやすい状態となっていますが、元々扁桃炎を発症しがちの人が糖尿病になる要因を抱えていると言える面もあります。
糖尿病患者が扁桃炎に罹りやすくなる理由には免疫力の低下のほか、口の渇きを招くことも挙げられます。
高血糖になることで血液の濃度が上がり、それを薄めるために脳の口渇中枢が刺激されて口の渇きや多飲・多尿・体重減少が起こりますが、口の渇きで唾液が減少し口内が細菌感染を起こしやすくなってしまいます。
扁桃にも細菌が取り付いて、免疫低下で炎症が生じて扁桃炎を発症しがちとなります。

扁桃炎は糖尿病による高血糖で口渇中枢が刺激されなくても、常に口呼吸を行うことで口腔内が乾燥して扁桃に細菌が付着し、急性症状に見舞われることもあります。
口の中が常に乾燥しがちの状態は虫歯や歯周病を招きがちになりますが、それらの疾患も扁桃炎同様に細菌感染と免疫低下によるものです。
歯周病は糖尿病の合併症の一つとされ、歯周病の悪化も促すことでも知られていますが、歯周病に罹っている人の糖尿病発症リスクが高いことも問題視されています。
歯周病の人はそうでない人に比べて糖尿病の罹患率が約2倍とまでいわれているほどです。

扁桃炎は扁桃の切除によって治癒させることも可能ですが、糖尿病も歯周病も一旦罹ってしまったら治りにくいどころか、完治させることが非常に困難な病気ということで、いずれも疑わしいという段階で改善させておくことが重要です。
糖尿病のように口の渇きや多飲・多尿、急激な体重減少のようなサインがあった場合にはすぐに医療機関を受診しておく必要があります。
歯周病の場合は自覚症状があらわれにくいことから、定期的に歯科検診や歯石のクリーニングを受けることが大事です。